アマトリチャーナは、塩漬けしたブタの頬肉をタマネギとともに炒め、トマトソースで煮込んで作ります。麺はスパゲティを用い、仕上げにペコリーノチーズをタップリかけて完成。ブタの塩漬けとチーズのコクがたまりません。トマトの酸味が食欲を刺激し、ついつい大盛り平らげてしまう危険なパスタです。

スパゲッティ・アマトリチャーナとは「アマトリーチェ風スパゲッティ」という意味で、アブルッツォ州の境にある、ラッツィオ州のアマトリーチェ村で誕生しました。アペニン山脈を抱くこの村には、夏の間、ローマ近郊から500頭以上の羊を引き連れ、羊飼いたちがやって来ました。エサを求めて大移動(トランスマンツァ)。目指す高原には新鮮な草がタップリあります。

高原で過ごす彼らは、たまにふもとの村へ下りて行っては、羊の乳や、それで作ったペコリーノチーズやリコッタチーズと村の物資を交換しました。こうして羊飼いたちのペコリーノチーズと村人のブタの塩漬け肉が出会い、スパゲティ・アマトリチャーナが誕生したのです。

麺はブカティーニ(穴あきロングパスタ)でもペンネでもなく『スパゲティ』を使うのは、かつてはアブルッツォ州の手打ちパスタ「キタッラ」が使われていたから。キタッラとはイタリア語でギターのことで、弦を三〇本以上張った機械に、麺をのし棒で押し当てて作るのでこう呼ばれます。麺の断面は四角く、ソースの絡みも抜群です。現在のアマトリチャーナのレシピは簡略化され、キタッラではなくスパゲティを使うようになりました。以上、私の主人がアマトリーチェ村で聞いた話。

なるほど、ローマで「本場のアマトリチャーナ」と称して、ブカティーニを使っていたのは、後のローマっ子のアレンジだったんですね。

ウンブリアの食卓から 
       <ガッツリ食べたいアマトリチャーナ>
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■パスタ概論
○乾麺の代表スパゲティ
○ディチェコの秘密
○アマトリチャーナの由来
○ローマ名物カルボナーラ
○豊富な生パスタ
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