ウンブリアの食卓から 

    硬くなったパンは、貧しい人のチーズ

こんな(ことわざ)がプーリアにはあるそうです。リエビト・マードレでゆっくり発酵させ、薪(まき)で焼かれたパンは日持ちが良く、古くなれば酵母がチーズのような円熟した香りを放ったことでしょう。日々、味が変化していくパン。そう、パンは生き物なのです。

 でもどうにも硬くなってしまったら、捨てずに料理に再利用します。
 パンを水に浸して絞り、生野菜と和える「パンツァネッラ」はトスカーナの夏の定番料理。いわゆるパンサラダで、日本の「酢の物」感覚でサッパリといただけます。炭水化物と一緒に野菜も摂れるので、食が細い時にはピッタリですね。冷蔵庫に一日置くと味が染みて、いっそうおいしくなります。
 対して野菜や豆、黒キャベツを煮込んだスープにパンを入れてオジヤ風に仕上げた「リッボリータ」はトスカーナの冬の常食です。
 
 また熱々の野菜スープを硬くなった薄切りパンにかけ、柔らかくして食べる「アクア・コッタ」はイタリア農村部の代表的な田舎料理。古いパンもおいし
く料理し、無駄にしない…庶民の知恵が随所にみられます。

パンを再利用した料理の数々
:パンツァネッラ
:アクア・コッタ

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