一頭丸ごと処分すると肉をはじめ、内臓、皮、なんと血に至るまで利用します。捨てるところがありません。部位によって煮たり焼いたりと、調理法はさまざま。ハムやサラミとして保存用にも加工します。街のサルメリア(ブタ加工品やチーズを扱う食料品店)をのぞけば、その種類の多さに仰天するほど。
地方によって呼び名も種類も様々なので、旅行にいけば、必ずサルーミの盛り合わせを頼みます。その土地のブタ文化が会間見えて、興味深いものです。
数ある加工品のなかでも、イタリアを代表する食材といえば生ハムです。あのモチッとした食感と芳醇な味わいは、イタリア人のみならず、世界のグルメたちをとりこにします。生ハムは、モモの部分を骨ごと切り取って塩漬けにし、風通しのいい場所で6カ月以上寝かせて作ります。スライスしてイチジクやメロンと共に味わうのが、ポピュラーな食べ方。小腹が減ったら、パンと一緒につまむのもいいですね。赤ワインとの相性もバツグン。
生ハムの一大産地として知られる中北部の街といえば、パルマとサン・ダニエーレでしょう。厳選した白ブタを一年半以上、熟成させて作ります。味の決め手は何といっても「風」。渓谷や山脈から吹く冷涼で乾いた風が、肉の水分を程よく蒸発させ、うまみに変えるのです。長期間寝かせることで、どんどんおいしくなっていく…まさに風土がはぐくむフード(食べ物)と言えます。
イタリアの基本食材 Dサルミ(ブタ加工) ■サルミ概論 |
○まろやかラルドは禁断の味 |
○ブタ解体作業「ピスタ」 |