左:ムーロ・ア・セッコ  右:馬を放し飼いにしてエサをやる。馬糞は肥料に。
オイル作りに大敵なのは「酸化」です。

そのためオリーブの実は収穫から24〜48時間以内に、フラントイオ(圧搾所)に運ばれ、オイルにされます。電動の石臼でひきペースト状にして、ろ過するやり方も多くの農家で踏襲されていますが、最近では酸化を抑えて風味を生かす機械での圧搾が考案されました。

低温ですばやくすりつぶし、空気に触れさせないという徹底した抗酸化技術により、より香りの高いオリーブオイル作りを実現しています。

           

左:昔ながらの石臼 真中:小生産者もハイテクな機械で
右:大工場の様子


また収穫も、手積みや小さなクマデでしごき、実を落下させて刈り取るやり方から、 
最近では木に振動を加えて実を落とす、という機械積みに変わりつつあります。平地にある広大な畑の場合は、圧倒的に後者が使われています。時間も大幅に短縮され、実の損傷も少ないので良いということのようです。

オリーブ畑がどこまでも続くイタリアの田舎。そんなのどかで美しい風景に心和みます。でも畑の管理は意外と大変。冬には肥料を与え、春先には下草を刈り、剪定(せんてい)します。剪定の良し悪しによって、収穫量が3割以上も違ってくるというのです! また前述した収穫の際の人件費もばかになりません。なかには畑を維持しきれず、放置してしまう農家もあるそうです。手入れしないとオリーブは実を付けず、畑は次第に荒れてしまいます。

 また南イタリアなどで見られるオリーブ畑を仕切る空石積みの塀「ムーロ・セッコ」は、情緒があり美しいもの。セメントを一切使わずに、石の形を見極めて一つずつ手で積んでいくのですが、これが非常に技術がいるということ。最近ではその継承者が減少しているため、ムーロ・ア・セッコの修復は非常に困難になっているんですって。

オリーブにまつわる伝統文化あれこれ。維持は大変でしょうが、後世まで受け継いでいって欲しいものです。

  

イタリアと言えば、やはり『パスタの国』というイメージです。一口にパスタと言っても、国土が縦に長いイタリアの麺事情は、南北でずいぶん違います。北は生麺、南は乾麺を主に食べます。それは気候で麦の栽培種が異なるため。

北部では寒さに強い軟質小麦(小麦粉)が生産されてきました。これに卵を加えて手打ち麺にします。優しい食感と卵の風味が特長で、地方によって形も呼び方も色々です。

一方南部ですが、昔から硬質小麦(セモリナ粉)の栽培が盛んに行われてきました。硬質小麦を水もしくは湯で練り、機械で押し出して完全に乾燥させます。スパゲティやマカロニ、ペンネの類がそう。もちろん南部でもプーリア州のオレッキエッティやカバテッリなどの手打ちパスタは作られてきましたが、原料は硬質小麦です。モチッとした弾力がなんとも魅力★

ちなみにパスタとは小麦で作られた加工品の総称です。パスタはイタリア全土で650種類以上もあると言われています。そのバラエティの多さにはただ驚くばかり。

 

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